★出棺勤行について

仏壇に向かってお別れの勤行

故人の柩が住みなれた我が家を出発して葬場(荼毘所だびしょ)に向かうにあたり、家庭のお仏壇に向かって、住職・家族らと共に行う、お別れの勤行です。

 

剃髪式・おかみそりについて

出棺勤行に先立って、住職が柩の中の故人に対して剃髪式(一般におかみそりと言う。厳密に言えば僧侶となる儀式)を行う場合があります。この儀式は、生前に僧侶であった者、および帰敬式(ききょうしき)を済ませていた人の場合には不要です。

東京都市部での葬儀ではこのおかみそりの儀式はあまり見かけません。当寺でも法名を付けるだけで特別におかみそりは行ってはおりません。

浄土真宗の教えによれば、私たちがみ仏の国に生まれることは、生前、阿弥陀如来の本願(一切の衆生をほとけの国に救い取らんとの誓願)を信じ、念仏を喜ぶときに定まります。これを平生業成(へいぜいごうじょう)と言います。このとき以来、日常の生活がそのまま仏の国に通じる道中なのです。だから、生命の終わった時に特別の儀式を行って浄土に往生したいと祈る必要も、導師に引導をわたされて仏の国に導かれる必要もありません。

ただ、生前に帰敬式や得度(僧侶になる訓練と儀式)を済ませていない人に対しては、出家する儀式、つまり「おかみそり」を行い、法名(仏弟子としての名前)をつけ、出家者として敬意を表するのです。だから遺体は白衣を着用し、柩は浄土真宗僧侶の最高の礼装である七条袈裟で覆う訳です。

 

院号・法名

おかみそりをすませた人には、法名が授与されます。法名には仏弟子となったこと、つまり釈尊の家系に生まれたことの意味で、姓としての釈の字をつけます。なお、浄土真宗は戒律の仏教ではありませんから、戒名という言葉は用いません。

逝去に当たっては、法名を料紙にしたため、逝去の年月日、俗名、年齢なども記入します。浄土真宗では白木や塗りの位牌を用いないのが正式です。位牌は中国の儒教の作法に由来するものです。

当寺では右側 往生年月日 中央 院号法名 左側 俗名満年齢を法名用紙に書きます。それを簡易的に使用する白木に貼ります。本来なら白木位牌は使用すべきではありません。しかし白木位牌を法名板として使っております。本来は三つ折りの法名立てを使用いたします。

院号は、住職であった者、そのほか、生前に特別の功労のあった門信徒に対して、御本山から贈与されます。また、御本山に一定以上の上納金を進納した場合にも、財功に対するお扱いとして交附されます。

院号は現在御本山に20万円以上の進納(永代経懇志と言います)があった場合、お扱いとして院号が下附されます。

院号・法名の下に、居士、大士、信士、信女、大姉、童女などの文字は、つけません。居士、信士、信女などは、在俗の信者(ウパーサカ・優婆塞、ウパーシカ・優婆夷=仕える人の意)を意味します。それに対して、法名は本来、出家の名です。出家名と在家名とは別個であり、出家名にたいしてわざわざ居士等をつけるのは理屈の上で矛盾しているわけです。

居士等は位号と言います。僧侶ではなく在家であることも意味します。お念仏の教えをいただく私たちは男や女、はたまた僧俗等にこだわることはしません。共々にお浄土へあゆませていただく同朋なのですから、位号は必要としないのですね。